

2026.02.02
2026年1月の金相場は、高値圏での推移が続いた1ヶ月でした。
国内金価格は月前半に上昇する場面が見られた一方、月後半には調整も入り、上下に振れる動きとなっています。
為替(ドル/円)は後半にかけて円高方向へ動きました。しかし、国内金相場は大きく崩れることなく推移しました。
1月の相場は、為替の動きだけでは読み取りにくい局面も多かったといえるでしょう。
このコラムでは、国内金相場・海外金相場・為替のデータをもとに、2026年1月の金相場を振り返りながら、
月全体の値動きの特徴と、その背景を整理していきます
月初から中旬にかけて急速に上昇。
29日には史上初めて1g=3万円台に到達し、月末は大きな調整が入った。
地政学リスクや政治的緊張を背景に高値更新
しかし、月末は金融政策を巡る観測の変化で急反落。
月を通して大きな円高局面は見られず、国内金相場の高水準を下支えする要因となった。
上昇と下落の振れ幅が非常に大きく、短期間で相場の流れが大きく変わる展開が続いた。
月末の急落は、一時的な調整にとどまらず、今後の金相場が不安定な値動きを伴う可能性を示す局面といえる。

上のグラフを見ると、2026年1月の国内金相場は、高値圏でスタート。月前半にかけて水準を切り上げる動きが見られます。
日々の値動きでは上昇と調整を繰り返しながらも、月前半は比較的しっかりとした推移が続きました。
一方、月後半に入ると値動きは荒くなります。29日には大きく上昇したものの、翌30日には大幅な下落が発生しています。
短期間で急騰と急落が続いたことで、相場は上下に大きく振れる展開となりました。
このように1月の国内金相場は、月後半にかけて変動が大きくなり、値動きの荒い局面が目立った1ヶ月だったと整理できます。

為替相場(ドル/円)は、1月前半は円安水準で推移しました。しかし、月後半にかけては円高方向へ動く場面が見られました。
月の途中で流れが変わり、前半と後半で異なる値動きとなった点が特徴です。
月を通して見ると、為替は一定の方向感が続いたわけではなく、前半と後半でトーンが切り替わる推移となりました。

2026年1月の海外金相場(ドル建て)は、月を通して高値圏で推移しました。特に月後半にかけて上値を試す動きが見られました。
日々の値動きでは調整を挟む場面もありましたが、下落が長く続くことは少なく、全体としては底堅い推移が続いています。
しかし、月末に入り、グラフ上では大きな下落は見られませんでしたが、NY市場の終了後に大きく金相場が下落。国内相場と同程度の下落が発生しました。

海外相場と国内相場を比較すると、1月は両者が概ね連動した動きを見せた月だったことが分かります。
月後半にかけて為替が円高方向へ動いた局面では、国内相場が一時的に調整する場面もありました。
しかし、海外相場が高値圏を維持していたこともあり、国内相場は下落が一方向に進む展開には至っていません。
とくに29日には、海外相場の動きを背景に国内相場が大きく上昇しました。
翌30日は、その反動から大幅な下落となりました。本グラフはNY市場終値をグラフ化したもの為、下落が限定的の様に見えます。しかし、実際は国内相場と同時刻にはさらに下落しておりました。
このように1月は、為替が円高に振れる場面がありながらも、海外相場の水準が国内価格を支える形となった月だったと整理できるでしょう。
2026年1月の金相場は、月を通して多くのニュースが断続的に伝えられました。
地政学リスク、通商政策、金融政策といった異なる要因が多く重なりました。
そのため、市場は落ち着いた推移というよりも、リスクオンとリスクオフが短期間で切り替わる、非常に振れ幅の大きい展開となりました。
ここでは、1月の相場形成に影響した主なニュースを、テーマ別に整理します。
1月上旬から中旬にかけては、中東や中南米を巡る地政学リスクが相次いで伝えられました。
月初の1月3日には、アメリカによるベネズエラへの軍事行動が報じられました。その結果、週明けの5日には金相場が上昇しています。
また、1月8日にはイラン国内で大規模な反政府デモが発生したことが伝えられました。
さらに22日には、トランプ氏がイランの核開発や政府によるデモ弾圧を理由に、艦隊をイランの方向に向かわせる可能性に言及しています。
これらの動きを通じて、地政学リスクが一気に意識され、金が強く買われやすい局面が月初から中旬にかけて続きました。
1月は、グリーンランドを巡る問題が国際的な緊張を高める場面と、緩和を示す場面の両方が見られました。
6日には、アメリカ政府がグリーンランド領有に向けて、軍の活用も選択肢として検討していると報じられています。
この問題はその後、欧州との関係にも波及しました。
17日には、トランプ氏がグリーンランド問題を巡る圧力の一環として、欧州8カ国に対し10%の追加関税を課す方針を表明しています。
地政学的な問題と通商政策が結びつく形となり、市場の警戒感が高まりました。
一方、21日には「グリーンランド関税」は見送られる事となります。NATOと合意枠組みを構築する方向で調整が進められていることが報じられました。
このように1月は、緊張が高まる動きと、それを和らげる動きが短期間で交錯する月となりました。
金融政策を巡る不透明感も、1月相場の大きな特徴です。
12日には、FRBのパウエル議長が、トランプ政権から刑事捜査を通じた嫌がらせを受けていると非難したとの報道が伝えられました。
FRBの独立性に対する懸念が市場で意識され、この日は金相場が上昇しています。
28日のFOMCでは政策金利の据え置きが決定されました。しかし、一部の理事が利下げを求めて反対に回るなど、委員会内の意見の割れが表面化しました。
これにより、市場では今後の金融政策シナリオが一枚岩ではないとの受け止めが強まりました。
こうした流れの中で、1月末の値動きは極めて象徴的でした。
29日には国内金価格が史上初めて1グラム3万円を突破し、3万248円まで上昇。
月初から続いてきた地政学リスクや政治的緊張を背景に、金は連日のように高値を更新しました。
しかし翌30日には様相が大きく変化します。タカ派として知られるウォーシュ元FRB理事を要職に指名する可能性があるとの報道がされました。そのため、金・銀市場は一転して急落しています。
結果、短期間での上昇が一気に巻き戻される形となりました。日次としても極めて大きな下落幅が記録されました。
この一連の動きは、単なる月末の調整というよりも、金融政策を巡る前提条件が切り替わり、市場がリスクの取り方を見直し始めた局面として捉えることができます。
2026年1月の金相場は、
・地政学リスクや政治的緊張を背景に急騰
・月末には金融政策シナリオの変化を意識した急反落
という、非常に振れ幅の大きい展開となりました。
とくに月末の動きは、金相場が「安定した上昇トレンド」ではなく、リスクオン・オフの切り替えによって大きく変動する相場に入った可能性を示す重要な節目だったといえるでしょう。
2026年1月の金相場は、月初から中旬にかけて急速に水準を切り上げていきました。
しかし、月末には一転して大きな調整が入るなど、値動きの振れ幅が非常に大きい1ヶ月でした。
ここでは、前日比で特に動きが大きかった5日を日付順に整理します。
1月9日:24,658円/g → 13日:25,547円/g(+889円/1日)
週明けの取引となった13日は、中東情勢や政治的緊張を背景に、安全資産としての金への買いが一気に強まりました。
1日で800円超の上昇となり、1月相場における上昇局面の起点といえる動きです。
1月20日:25,944円/g → 21日:26,582円/g(+638円/1日)
アメリカの通商政策やグリーンランド問題を巡る報道が相次ぎました。そのため、先行き不透明感を背景に金が再び大きく買われました。
月後半に向けて、相場が一段高へと押し上げられた局面です。
1月22日:26,637円/g → 23日:27,682円/g(+1,045円/1日)
23日は月中としては最大級の上昇幅となりました。
要因として地政学リスクや金融政策への不安が重なり、金への資金流入が一気に加速した事が考えられます。
この日の動きは、29日の急騰につながる流れの前段としても重要です。
1月28日:27,738円/g → 29日:29,568円/g(+1,830円/1日)
29日は、国内金価格が史上初めて1グラム3万円に迫る水準まで急騰。
月内、そして過去を見ても極めて大きな上昇幅を記録しました。
地政学リスクや政治的緊張、金融政策への不透明感が積み重なり、安全資産としての金に買いが集中した1日です。
1月29日:29,568円/g → 30日:28,181円/g(−1,387円/1日)
前日の急騰から一転し、30日は大幅な下落となりました。
タカ派とされるウォーシュ元FRB理事の要職指名観測が報じられ、市場では金融政策を巡る見通しが急速に切り替わっています。
短期間で積み上がった買いが一気に解消。日次としても記録的な下落幅となった1日です。
・月中は600円~1,000円超の上昇が断続的に発生
・29日にかけて上昇が加速し、史上最高値圏へ
・月末は金融政策観測をきっかけに急反落
・リスクオン/オフの切り替えが極端に早い相場
2026年1月の金相場は、一方向に進む相場ではなく、急騰と急落を短期間で繰り返すしました。非常にボラティリティの高い1ヶ月だったといえるでしょう。
2026年1月の金相場は、月を通して見ると値動きの振れ幅が非常に大きい1ヶ月でした。
月初から中旬にかけては、地政学リスクや政治的緊張を背景に金が強く買われました。その結果、国内相場は急速に水準を切り上げています。
とくに1月中旬以降は、海外相場の上昇や為替環境が重なり、押し目が入りにくい状況が続きました。
調整が入る場面も見られたものの下値は限定的でした。
全体としては上昇の勢いがはっきりと感じられる局面だったといえるでしょう。
一方、月後半にかけては相場の様相が大きく変わります。
29日には国内金価格が史上初めて3万円に迫る水準まで上昇。安全資産としての金が強く意識される展開となりました。
しかし翌30日には、金融政策を巡る見方が急速に変化。
それまで続いていた上昇が一気に巻き戻される形で大幅な下落が発生しています。
短期間で積み上がっていた買いが解消され、月末は調整色の強い動きとなりました。
2026年1月の金相場は、地政学リスクや政治要因によって買いが強まる局面と、金融政策観測をきっかけに相場の流れが大きく変わる局面が、短期間で繰り返された1ヶ月でした。
上昇トレンドの強さと同時に、相場が一方向には進まないこともはっきりと示された月であり、今後の値動きを考えるうえで、ひとつの転換点となる1ヶ月だったといえるでしょう。
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