2025.07.12
最近、「金が高くなっているって聞くけど、今が売り時なの?」というご相談をいただくことが増えてきました。
実際、2025年現在の日本国内の金価格は1グラムあたり17,000円前後と、かつてないほどの高値圏にあります。
そもそも金の価格はどうやって決まっているのでしょうか?
今回は、金相場の基本的な仕組みをできるだけやさしく整理していきます。
金は世界中で取引される貴金属です。
その価格は主にニューヨークの「COMEX」やロンドンの「LBMA」といった国際市場で決まります。
ここで使われるのが「ドル建て」の価格で、単位は1トロイオンス(約31.1g)です。
たとえば「1トロイオンス=1,900ドル」と発表された場合、それが世界共通の金価格の基準になります。
つまり、これはニュースなどでよく見かける金価格の元になる数値です。
金の価格はリアルタイムで変動します。
その背景には、経済・投資・国際情勢など、さまざまな要因が関係しています。
たとえば、主な価格変動の要因は以下の通りです:
– 投資需要と供給のバランス
– インフレ懸念や景気後退などの経済的要素
– 戦争や紛争といった地政学リスク
– 中央銀行の金準備の増減
– 金利や為替の動き
これらが組み合わさって、金相場は日々変化していきます。
その結果、世界経済に不安が広がると、「金を買っておこう」という動きが加速し、価格が上がる傾向があります。
金は、株や通貨とは異なり、「価値が信用に依存しない」という特性を持っています。
そのため、経済や政治の不安定時には「とりあえず金に換えておこう」という動きが世界中で起こります。
このような特徴から、「有事の金」と呼ばれています。
過去には、次のような出来事で金が買われ、価格が上昇しました:
– 2020年:新型コロナウイルスの世界的拡大
– 2022年〜:ロシアによるウクライナ侵攻
– 2024年以降:中東情勢の悪化(ガザ地区など)
要するに、世界が混乱するたびに金が注目され、安全資産として価値を増す傾向があります。
今回は、金相場の基本と「価格はなぜ変わるのか」という仕組みを解説しました。
しかし、多くの方が感じているのは、「なぜこんなに日本の金は高いのか?」という疑問ではないでしょうか。
その答えは、“為替の影響”にあります。
次回は、「なぜ金は円で見ると高く感じるのか?」という視点から、円安の影響を具体的な数値とともに解説していきます。
– LBMA – 金の国際価格(ロンドン価格)
– 田中貴金属工業 – 日本国内の金価格推移
– 日本銀行 – 外国為替相場の動向(日次)
– 財務省 – 国際情勢と金市場の動向(PDF)