2025.07.18
前回のコラムでは、金相場の基本的な仕組みや、長期的に価格が上昇してきた背景について解説しました。
カドヤ質店でも、最近は金相場に関するご相談が増えており、特に「なぜこんなに高いのか?」という疑問を多くいただいています。
今回はその続きとして、「なぜ日本では金価格が特に高く感じられるのか?」という視点から、為替(円安)の影響に注目して解説します。
金は世界共通でドル建てで取引されており、その価格がまず国際的な基準になります。
たとえば、1トロイオンス(約31.1g)の金が1,900ドルで取引されているとします。
ここで日本の消費者や投資家が購入する際には、そのドル価格を円に換算します。
つまり、
ドル建て価格 × 為替レート(円/ドル) = 日本国内の金価格(円建て)
という式が成り立つわけです。
たとえば、同じく「1トロイオンス=1,900ドル」だったとしても、
このように、円安になるだけで金価格が約1.5倍にもなってしまいます。
最近のように1ドル=150円前後の円安が続いていると、たとえドル建ての金価格が横ばいでも、
国内価格はどんどん上がっているように見えるのです。
では、なぜここまで円安が進んでいるのでしょうか。
大きな要因の一つは、日本とアメリカの「金利差」です。
アメリカはインフレ対策として金利を高く設定していますが、日本は長らく低金利政策を続けています。
その結果、より金利の高いドル資産へ資金が流れ、円が売られる動きが起きているのです。
また、エネルギーや資源の輸入増加による「貿易赤字」も、円安に拍車をかけています。
新聞やニュースで「金価格が下落」と書かれていても、それがドル建てでの話なのか、円建てなのかで印象が変わります。
日本国内で金を売買する場合は、円建て価格のほうが実際の感覚に近いため、注意が必要です。
最近のような円安環境では、ドル建てで金が下がっていても、円建てでは高止まりするケースも多くあります。
当店 カドヤ質店 でも、金の価格に関するご相談が多く寄せられています。
「海外では下がってると聞いたけど、今売るべき?」という方もいらっしゃいますが、
国内の円建て価格が高止まりしていれば、売却や質預かりにおいては有利な状態といえます。
特に、「急にお金が必要になったが、金は手放したくない」という方には、
相場が高い今、質預かりを利用される方も増えています。
次回は、金相場を動かすもう一つの要因、「世界情勢」について掘り下げます。
実例を交えながら、より深くご紹介します。