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2026年3月金相場レポート|中東情勢と中央銀行の金売却で急落した1ヶ月

2026.04.02

はじめに

2026年3月の金相場は、月初には高値圏で推移していたものの、月後半にかけて大きく下落する展開となりました。
特に3月23日には前日比−2,378円という大幅な下げ幅を記録。相場の流れが大きく変わる場面も見られました。

その背景には、中東情勢を巡る緊張の高まりやエネルギー市場の混乱、さらに中央銀行の金売却といったニュースが重なっています。

このコラムでは、実際の店頭買取価格(田中貴金属)と為替データをもとに、2026年3月の金相場の動きを整理しながら、価格変動の背景となったニュースや出来事をわかりやすく解説していきます。

2026年3月の金相場をひと目で

🔸 国内金相場

月初は高値圏でスタートしたものの、その後は徐々に水準を切り下げる展開となった。特に3月23日には前日比−2,378円の急落を記録し、月内最大の下げ幅となった。

🔸 海外金相場(ドル建て)

月初には高値をつけた後、月後半にかけて大きく下落。月内では5,300ドル台から4,400ドル台まで水準を切り下げる場面も見られた。

🔸 為替(ドル/円)

為替はドル高方向に推移する場面が見られ、円建ての金価格にも影響を与えた。為替の動きが国内相場の変動要因の一つとなった。

🔸 3月相場の特徴

中東情勢の緊張やホルムズ海峡を巡る問題など、地政学リスクが市場で強く意識された。また、中央銀行による金売却のニュースも重なり、相場の不安定さが増す展開となった。

🔸 注目ポイント

地政学リスクが市場の主要テーマとなる中、エネルギー市場の動きや中央銀行の行動が金価格に影響を与える局面も見られた。今後も国際情勢と金融市場の動向が金相場を左右する可能性がある。

この記事の全体像は、下の目次からご覧いただけます👇

▶ 目次(クリックで開く)

国内相場の値動き

上のグラフを見ると、2026年3月の国内金相場は、月初に高い水準からスタートしていることが分かります。
月初の価格は29,508円/gで、3月3日には29,612円/gまで上昇。これが月内の高値となりました。

その後、相場は徐々に下落方向へと転じます。
月中にかけては上下の振れを伴いながら推移したものの、全体としてはやや水準を切り下げる動きが続きました。

とくに3月19日から23日にかけては下落の動きが強まり、相場は大きく水準を切り下げます。
この下落局面の中で、3月23日には前日比−2,378円の大幅安を記録しました。

その翌日、3月24日には24,420円/gまで下落し、これが月内の安値となりました。

ただし、その後は急落後の反発も確認できます。
3月25日には+920円の上昇となり、短期的な買い戻しが入る場面が見られました。

それでも月末時点では25,375円/gと、月初の水準と比べて大きく価格を下げた状態で取引を終えています。

このように3月の国内金相場は、

月初の高値圏 → 月中の調整 → 3月19日以降の下落局面 → 急落後の反発

という流れで推移しました。
月全体として見ると、後半にかけて大きく水準を切り下げた1ヶ月だったと整理できます。

為替の値動き

為替(ドル/円)のグラフを見ると、2026年3月は月初から156円台でスタートしていることが分かります。
月初の水準は156.63円で、これが月内の安値となりました。

その後、為替は徐々にドル高・円安方向へと動きます。
月前半は大きなトレンドが一気に形成されたわけではなく、短期間で上下を繰り返しながら推移しました。

たとえば3月5日には前日比−0.79円の下落が見られる一方、3月12日には+0.98円の上昇が確認されるなど、日ごとの値動きは比較的細かな振れを伴っています。

ただし月全体で見ると、為替は徐々に水準を切り上げる動きとなりました。
月末の3月30日には160.22円まで上昇し、これが月内の高値となっています。

最終的に月末は159.83円で取引を終えており、月初と比べて約3円程度の円安となりました。

このように3月の為替相場は、

月初156円台 → 月後半にかけて160円台に接近

という流れで推移し、緩やかな円安方向の動きが続いた1ヶ月だったと整理できます。

海外金相場(ドル建て)の値動き

海外金相場(ドル建て)のグラフを見ると、2026年3月は月初に高値圏からスタートしていることが分かります。
月初の価格は5,247.9ドル/ozで、3月3日には5,311.6ドルまで上昇。これが月内の高値となりました。

しかし、その後は相場が徐々に下落方向へと転じます。
月中にかけては上下の振れを伴いながら推移したものの、全体としては水準を切り下げる動きが続きました。

とくに3月23日には前日比−321.3ドルの大幅な下落が発生し、相場は大きく水準を切り下げます。
その後も下落が続き、3月25日には4,402.0ドルまで下落し、これが月内の安値となりました。

ただし、その後は急落後の反発も確認できます。
3月26日には+150.3ドルの上昇となり、短期的な買い戻しが入る場面が見られました。

それでも月末時点では4,557.5ドル/ozと、月初の水準と比べて大きく価格を下げた状態で取引を終えています。

このように3月の海外金相場は、

月初の高値圏 → 月中の調整 → 3月後半の急落 → その後の反発

という流れで推移しました。

国内金相場も同様に月後半にかけて大きく下落しており、3月の相場は国内・海外ともに後半にかけて水準を切り下げる動きが共通して確認できます。

一方で、国内相場は為替の影響も受けるため、値動きのタイミングや変動幅には若干の違いが見られます。
それでも、月後半の下落局面とその後の反発という大きな流れは、国内相場と海外相場でおおむね共通していたと整理できます。

金相場に影響した3月のニュースまとめ

2026年3月の金相場は、中東情勢の急激な悪化をきっかけに国際政治やエネルギー市場の不透明感が強まり、市場参加者の関心が地政学リスクへと向かった1ヶ月でした。

とくに今回は、イランを巡る軍事衝突の報道が連続して伝えられ、ホルムズ海峡やエネルギー市場にも影響が波及する展開となります。
こうしたニュースは金融市場全体のリスク認識にも影響を与え、金市場でも重要な材料として意識されました。

ここでは、3月の値動きの背景となった主なニュースを整理します。

📌 月初:イラン情勢の急変と中東緊張の高まり

3月相場の出発点となったのは、イランを巡る軍事衝突でした。

2月28日には、アメリカとイスラエルがイランに対して大規模攻撃を実施したと報じられます。
この攻撃はイランの体制転換も視野に入れた作戦とされ、地域の政治情勢に大きな衝撃を与えました。

さらに3月1日には、イラン最高指導者 アリ・ハメネイの死亡が報じられます。
イランの政治体制の中心人物であった同氏の死去は、中東地域の政治バランスに大きな変化をもたらす可能性があると受け止められました。

その後も湾岸諸国とイランの関係悪化が報じられるなど、地域の安全保障環境は急速に不安定化していきます。
こうした政治的な緊張の高まりは、世界市場全体のリスク要因として強く意識されるようになりました。

📌 月中:ホルムズ海峡とエネルギー市場

3月中旬に入ると、焦点は ホルムズ海峡を巡る問題へと移っていきます。

新たな最高指導者に就任した モジタバ・ハメネイは、初声明の中でホルムズ海峡の封鎖を継続する方針を示しました。

ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝であり、世界の海上原油輸送量の大きな割合がこの海峡を通過しています。
そのため封鎖の可能性が意識されると、エネルギー市場では供給不安が急速に広がります。

実際にこの時期、原油価格は急騰し、湾岸諸国では減産の動きも報じられました。
エネルギー市場の混乱はインフレや世界経済への影響にもつながる可能性があるため、金融市場でも重要な材料として注目されました。

また、アメリカの トランプ大統領は、海峡を航行する船舶を守るための護衛作戦への参加を各国に要請しました。
しかし日本やオーストラリアは現時点で部隊派遣の計画はないと表明し、国際社会の対応は一枚岩とはならない状況も見られました。

さらにこの時期には、イスラエル軍が天然ガス施設を空爆し、イランがサウジアラビアやUAE、カタールのエネルギー施設へ報復攻撃を行うなど、エネルギーインフラを巡る軍事衝突も発生しています。
こうした出来事は、地域紛争がエネルギー供給そのものに影響を与える可能性を市場に強く意識させる結果となりました。

📌 月後半:紛争拡大と外交交渉

月後半に入ると、紛争拡大への懸念と外交交渉の動きが同時に進む展開となります。

イランは報復攻撃の対象を世界の観光地などへ拡大する可能性を警告し、紛争が中東以外の地域へ波及するリスクも指摘されるようになりました。
こうした警告は国際社会の警戒感をさらに高め、市場でも緊張感が続く状況となります。

一方で、アメリカは戦闘終結に向けた計画案を提示するなど、外交的な解決を模索する動きも見られました。
しかしイラン側はこの提案を拒否し、交渉は難航します。

その後、トランプ大統領はイランのエネルギー施設への攻撃を10日間停止する措置を発表しました。
ただし同時に米軍の増派検討も報じられるなど、軍事的圧力と外交交渉が並行して進む不安定な状況が続きました。

📌 中央銀行と金市場

さらに3月下旬には、金市場の需給に関わるニュースも注目されました。

トルコの中央銀行が保有していた金を大量に売却したと報じられたのです。

この背景には、イランを巡る紛争の影響によってドル高・リラ安が進み、トルコが為替介入を検討している可能性があると指摘されています。
そのため、為替介入の資金を確保する目的で金を売却したのではないかとの見方が広がりました。

中央銀行の金売買は市場全体の需給に直接的な影響を与えるため、このニュースは金市場でも大きな注目を集めました。

🔍 3月ニュース構造まとめ

3月のニュースを整理すると、

月初:イラン情勢の急変と中東緊張の高まり
月中:ホルムズ海峡とエネルギー市場
月後半:紛争拡大と停戦交渉
月末:中央銀行の金売却

という流れで推移しました。

このように2026年3月は、地政学リスク・エネルギー市場・中央銀行の行動といった複数の要因が交錯した1ヶ月だったといえるでしょう。

なぜ「有事の金」と言われる中で金価格は下落したのか

一般的に金は「有事の資産」と呼ばれ、戦争や地政学リスクが高まる局面では安全資産として買われやすいとされています。

しかし2026年3月の金相場では、中東情勢が急速に緊張する中でも価格は大きく下落しました。その背景には、伝統的な有事需要を上回る複数の要因が重なったと考えられます。

まず、有事の際には金だけでなく米ドルも安全資産として買われる傾向があります。今回、原油価格の急騰によるインフレ懸念が強まり、米国の利下げ期待が後退したことでドル高が進みました。ドル建てで取引される金価格にとって、ドル高は直接的な下押し圧力となります。

さらに、トルコ中央銀行による金の大量売却も大きな材料となりました。日本経済新聞によると、金保有量は前週比で約49トン減少しており、一部報道では2週間で約58〜60トン規模の売却・スワップだったとされています。この動きは為替介入の原資確保が目的ではないかとの見方もあり、市場では需給悪化要因として意識されました。

加えて、金価格はすでに高値圏にあったため、地政学ニュースをきっかけに利益確定売りやポジション調整が出やすい状況でもありました。

このように2026年3月は、「有事の金」需要よりもドル高や需給要因といった市場の力が強く働いた局面だったと言えるでしょう。

相場が大きく動いた4日間を検証(2026年3月)

2026年3月の金相場は、月初の高値圏からスタートした後、月後半にかけて大きく下落する展開となりました。
ここでは、前日比で特に変動幅が大きかった4日間を日付順に整理し、その背景となったニュースもあわせて確認します。

🔹 3月4日(水):−1,278円の急落

3月3日:29,612円/g
3月4日:28,334円/g(−1,278円)

月初に高値を記録した直後、相場は大きく下落しました。
前日の高値圏から一気に水準を切り下げ、3月相場はこの日をきっかけに調整局面へと入ります。

この時期はイラン情勢を巡る軍事衝突が報じられ、中東地域の緊張が急速に高まりました。
湾岸諸国とイランの対立も深まり、世界市場全体で地政学リスクが意識される局面となります。

🔹 3月19日(木):−724円の下落

3月18日:27,943円/g
3月19日:27,219円/g(−724円)

月中までは比較的落ち着いた値動きが続いていましたが、19日には再び大きく下落しました。

この日には、イスラエル軍が天然ガス施設を空爆したとの報道が伝わります。
さらにイランはサウジアラビアやUAE、カタールのエネルギー施設への報復攻撃を行ったとされ、中東地域の紛争拡大が強く意識される局面となりました。

こうしたエネルギーインフラを巡る軍事衝突は、原油市場や金融市場にも影響を与える可能性があるため、市場では警戒感が強まりました。

🔹 3月23日(月):−2,378円の急落(3月最大の下げ幅)

3月19日:27,219円/g
3月23日:24,841円/g(−2,378円)

3月相場で最も大きな値動きとなったのがこの日です。
前週から続いていた下落の流れが一気に加速し、国内金相場は大きく水準を切り下げました。

この時期には、アメリカとイランの軍事衝突が拡大する可能性が強く意識されていました。
また、イランは報復攻撃の対象を世界の観光地などへ拡大する可能性を警告するなど、国際情勢の緊張が高まっていました。

また、トルコ中央銀行の金売却報道も重なり、下押し要因の一つとなった。

🔹 3月25日(水):+920円の急反発

3月24日:24,420円/g
3月25日:25,340円/g(+920円)

急落後には大きな反発も確認されました。
3月25日は前日比+920円と、3月最大の上昇幅を記録しています。

この時期には、アメリカとイランの対立が続く中で外交交渉の可能性も報じられるようになりました。
戦争拡大か外交合意かという不透明な状況の中、市場では短期的な買い戻しも入り、相場は急反発する展開となりました。

まとめ

2026年3月の金相場は、月初の高値圏からスタートしたものの、月後半にかけて大きく下落する展開となりました。
特に3月23日には前日比−2,378円という大幅な下げ幅を記録し、月内で最も大きな値動きとなりました。

背景には、イランを巡る軍事衝突やホルムズ海峡を巡る緊張など、中東情勢の不安定化がありました。
エネルギー施設への攻撃や海峡封鎖の問題などが相次いで報じられ、世界市場では地政学リスクが強く意識される状況となります。

さらにトルコ中央銀行による金売却・スワップが需給を圧迫した点も特徴的でした。

このように2026年3月は、地政学リスク・エネルギー市場・中央銀行の行動といった複数の要因が同時に市場へ影響を与えた1ヶ月だったといえるでしょう。

一方で、急落後には大きな反発も見られ、短期間で価格が大きく上下する不安定な相場となりました。
今後も国際情勢や金融市場の動向によって金価格が大きく動く可能性があり、市場のニュースには引き続き注意が必要です。

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参照・出典