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2025年9月金相場レポート|ついに突破、国内2万円と史上高値圏

2025.10.03

  はじめに

2025年9月の金相場は、月を通じて力強い上昇を見せました。
国内ではついに 1g=2万円 の大台を突破し、海外(ドル建て)でも史上最高値圏に到達しました。

その背景には、月初の円安進行から始まり、米国の政府閉鎖リスクやFRB政策をめぐる思惑、さらに実需国インドの輸入増など、複数の要因が重なっています。

本コラムでは、国内と海外それぞれの相場の動きに加え、9月に金相場を動かしたニュースや出来事を整理しながら、1か月を振り返っていきます。

国内相場と為替の動き

2025年9月の店頭金相場は、大きな上昇基調を示し、月末にはついに 2万円の大台を突破しました。

月初の9月1日は18,001円/gでスタートしました。さらに月初から円安進行の後押しを受け、9日には19,027円/gと早くも19,000円を突破しました。
その後も中旬にかけて上昇は継続し、22日には19,427円/gへ到達します。つまり、下値の堅さを維持しつつ上値を追う展開が続いたのです。

下旬には、海外相場の高騰と歩調を合わせるように急伸しました。29日には20,018円/gとついに2万円の節目を突破し、翌30日には20,268円/gとさらに更新。結果として月間の上げ幅は2,200円以上に達し、国内金相場として過去最高値圏に入った形となりました。

一方で、為替相場(ドル/円)は月初の147円台前半からスタートしました。その後もおおむね高値圏を維持し、円安基調が国内金相場を下支えする要因となったのです。

ドル建て金価格の推移

2025年9月のドル建て金価格は、月初の3,423ドル/oz(9月1日)から始まりました。
序盤から堅調に推移し、3日には3,520ドル/ozをつけました。つまり、早くも上昇基調が鮮明となったのです。

中旬にかけても強さを維持しました。9月16日には3,620ドル/ozを記録。さらにその後も底堅さを見せながら水準を切り上げ、22日には3,710ドル/ozに到達しました。

下旬には、米国の政府閉鎖リスクが現実味を帯びました。その結果、一段高となり、29日には3,831ドル/ozと史上最高値に迫る水準をつけました。
月を通じてみれば、9月のドル建て金相場は明確に上昇基調を描きました。さらに連続で高値を更新する展開となったのです。

つまり、ドル建てで見ても9月は強い上昇相場でした。国内相場の上昇は為替要因だけでなく、国際相場そのものの高騰が大きく寄与していたことがわかります。

金相場に影響した9月のニュースまとめ

この章では、9月の金相場に影響を与えた主要なニュースを時系列で整理し、価格変動の背景を読み解いていきます。

📌 9月2日:円安進行で国内相場を押し上げ

9月に入りまもなく、為替市場でドル/円が一時148円台を付けました。海外の金価格は比較的落ち着いていましたが、円安が進むことで国内相場は円換算で上昇。為替要因が金相場を動かす典型的なパターンとなりました。

📌 9月5日:米雇用統計の弱さで金が買われる

この日発表された米雇用統計は予想を下回る内容でした。市場では「FRBが早期に利下げに動くのではないか」という思惑が浮上し、ドルは売られました。結果的にドル安が進行し、相対的に価値が高まる金に資金が流入しました。

📌 9月12日:政府閉鎖リスクが台頭

米議会で予算協議が難航していると伝えられ、月末に政府機関が閉鎖されるリスクが意識され始めました。政治的な不確実性が意識され、金が選ばれる展開となりました。

📌 9月16日:トランプ大統領のFRB圧力発言

トランプ大統領がFRBに対して強い圧力をかける発言を行い、金融政策の独立性に懸念が広がりました。市場の不透明感を高め、金相場を支える要因となりました。

📌 9月24〜25日:OMBが閉鎖準備を指示

米行政管理予算局(OMB)が各省庁に対し、政府閉鎖を想定した準備を行うよう指示。閉鎖の現実味が増し、市場はリスク回避姿勢を一段と強めました。

📌 9月中下旬:ETF流入が継続

9月を通じて金ETFへの資金流入が続きました。高値圏にあるにもかかわらず投資マネーが流入した背景には「相場から取り残される不安(FOMO)」がありました。

📌 9月29日:史上高値圏に到達

9月末にはドル建て金価格が3,831ドル/ozに達し、国内相場も1g=20,018円を突破。金は「新しい水準」に入ったとの印象を与えました。

相場が大きく動いた日を検証

ここでは、9月の金相場で1日150円以上の変動があった日を取り上げ、その前後の動きと背景を解説します。

🔹 9月2日(火):+211円の上昇(9/1 → 9/2)

9月1日(月):17,809円/g

9月2日(火):18,020円/g(+211円)

月初からドル/円が一時148円台に到達し、円安が進行。海外金が落ち着いていた中でも、円建て相場は為替要因で押し上げられました。

🔹 9月3日(水):+479円の大幅上昇(9/2 → 9/3)

9月2日(火):18,020円/g

9月3日(水):18,499円/g(+479円)

前日の円安進行に加え、安全資産としての買いが強まり、大幅な上昇を記録。月初からの急伸で、市場は一気に強気ムードとなりました。

🔹 9月8日(月):+225円の上昇(9/5 → 9/8)

9月5日(金):18,499円/g

9月8日(月):18,724円/g(+225円)

5日に発表された米雇用統計が弱い結果となり、ドル安・利下げ観測が浮上。週明けの国内相場もこれを引き継ぎ、安全資産としての金買いが加速しました。

🔹 9月16日(火):+277円の上昇(9/13 → 9/16)

9月13日(土):18,796円/g

9月16日(火):19,073円/g(+277円)

トランプ大統領がFRBに圧力をかける発言を行い、市場では政策の独立性を巡る懸念が浮上。政治的リスクを背景に金が買われました。

🔹 9月22日(月):+279円の上昇(9/20 → 9/22)

9月20日(土):18,956円/g

9月22日(月):19,235円/g(+279円)

政府閉鎖リスクが強まり、市場心理がリスク回避に傾斜。国内相場は一段高となり、19,000円台半ばに到達しました。

🔹 9月24日(水):+309円の上昇(9/23 → 9/24)

9月23日(火):19,235円/g

9月24日(水):19,544円/g(+309円)

OMBが各省庁に閉鎖準備を指示したと報じられ、閉鎖の現実味が急速に高まりました。ドル安が進み、金は一気に買われました。

🔹 9月30日(火):+250円の上昇(9/29 → 9/30)

9月29日(月):19,827円/g

9月30日(火):20,077円/g(+250円)

米国の政府閉鎖リスクを背景にしたリスク回避の流れが続き、これに加えてETFへの資金流入も継続しました。ドル安基調の後押しもあり、ドル建て金は3,831ドル/ozに到達。これを受けて国内相場もついに1g=2万円を突破し、金相場が歴史的な節目を迎えた日となりました。

まとめ

2025年9月の金相場は、国内外ともに史上高値圏に到達した節目の月となりました。
国内相場は円安進行やドル安基調の影響を受けつつ、海外相場と歩調を合わせて上昇。結果として、月末にはついに1g=2万円台を突破しました。

一方、ドル建て相場でも3,800ドル台を記録し、国際的にも金が過去にない水準に達しました。
背景には、米国の政府閉鎖リスクやFRBへの政治的圧力がありました。これが投資家心理を揺さぶる事となりました。加えてETFへの資金流入も重なり、需給両面で金が強く買われた点が特徴的でした。

総じて9月は、「政治リスクと投資マネーが同時に作用し、金相場が新たな水準へ踏み出した月」だったといえるでしょう。
今後は、2万円を新たな下支えとする動きが定着するかどうかが注目されます。

出典一覧

  • Reuters「Dollar rebounds as pound and yen slump, bonds and payrolls in focus」(2025年9月2日)
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  • Reuters「Gold nears record $3,600/oz level as weak US jobs data fuels rate-cut bets」(2025年9月5日)
    👉 リンクはこちら
  • Reuters「Trump pressure on Fed may steepen US yield curve, fund managers say」(2025年9月16日)
    👉 リンクはこちら
  • Reuters「White House tells agencies prepare mass firing plans, possible shutdown」(2025年9月25日)
    👉 リンクはこちら
  • Financial Times「Gold punches through $3,800 an ounce as risk of US shutdown rattles markets」(2025年9月29日)
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  • 田中貴金属工業「地金価格推移(金)」
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