

2025.12.03
2025年11月の金相場は、国内・海外ともに高値圏を維持しつつ上下に揺れた1ヶ月でした。
大きく崩れる場面はなかったものの、日々のニュースや指標をきっかけに上昇と調整が交互に訪れ、落ち着かない値動きが続いた点が特徴的です。
また為替や海外相場の動きも入り混じり、
国内の金価格は一時的に強含む場面や、反対に調整が入る日もありました。
ただ、月全体を見れば底堅い推移が続き、11月も高値帯をしっかり維持しています。
このコラムでは、国内相場・海外相場・為替のデータをもとに、
11月の金相場を振り返りながら、値動きの背景や影響したニュースを読み解いていきます。
11月の金相場は、国内・海外ともに高値圏を維持しながら上下に揺れた1ヶ月でした。
まずは全体像を簡潔に整理します。
このあと、国内相場・海外相場・為替の動きを詳しく整理し、
2025年11月の金相場がどのようなニュースや市場環境で動いたのかを解説していきます。

2025年11月の国内金相場は、21,300円〜22,902円 の範囲で推移しました。
月初は21,000円台前半から始まり、海外相場の上昇や円安気味の為替の影響を受けて、
国内価格は徐々に強含む展開となりました。中旬には22,900円台に乗せる日もあり、
高値圏での推移が続きました。
一方で、月末にかけては海外市場が感謝祭で薄商いとなり、
海外金相場に調整がはいりました。国内相場もその影響を受け、小幅な調整が入りました。
ただ、その下げ幅は限定的で、月全体としては安定した高値帯を維持しています。

為替相場(ドル/円)は 152.94〜157.38円 の間で推移しました。
月初の153円台から一時ドル安方向へ振れたものの、中旬以降は再びドル高が進行。
月末には157円台まで円安が進む場面がありました。
この円安基調が続いたことで、国内金相場の底堅さにつながった場面も多く見られました。

2025年11月の海外金相場(ドル建て)は、3,960ドル〜4,213ドル の範囲で推移しました。
まず月初は4,000ドル前後からのスタート。その後は米国のインフレ指標が予想を下回ったことで、
金利低下の思惑が広がり、金価格はじわじわと上昇しました。
特に11月中旬には買いが強まり、一時 4,200ドル台前半まで上昇。
米長期金利の低下も相まって、金(ゴールド)への資金流入が強まった時期でした。
ただし月末にかけては、米国の感謝祭による薄商いの影響と、
米金利の反発が重なり、海外金相場はやや調整。
とはいえ大幅な下落にはならず、
「上昇 → 小幅調整 → 高値圏維持」 という落ち着いた流れで11月を終了しました。

海外相場と国内相場を比較すると、11月は両者の動きが比較的きれいに連動した月でした。
海外金相場が4,200ドル前後まで伸びた中旬には、
国内相場も 22,900円台 に接近するなど、
ドル建ての上昇が素直に国内価格に反映されています。
また、海外相場が月末にやや調整した局面でも、
国内相場の下げ幅はそれほど大きくありませんでした。
背景には 為替が円安方向に推移していたため、海外の下落分を吸収しやすい地合いだった
という事情があります。
総じて、11月中旬までは海外相場の動きが国内相場へ比較的ストレートに伝わったが、月末は為替の影響を大きく受けた月であったと言えるでしょう。
この章では、2025年11月の金相場に影響を与えたニュースや材料を整理していきます。
ただし結論から言うと、11月は 「単一の大きな時事ニュースで相場が大きく動いた月」ではありません。
10月のように、政府閉鎖・首脳会談・大規模政策などが相次いだ月と異なり、
11月の金相場は 以前から続く中長期要因によって形成された“静かな強さ” が特徴でした。
11月上旬は、金相場を大きく動かすイベントがほとんどありませんでした。
一方で、10月後半から続く 米国の利下げ観測 が引き続き意識され、
「実質金利の低下」を背景に金は下がりにくい展開に。
特定の日に大きな材料が出たというより、
小さなデータの積み重ねが心理的な支えになった形です。
このように、派手なニュースがなくても金価格が底堅かった理由は、
「利下げムード」がすでに市場の空気として存在していたためです。
11月中旬も大きな政治イベントはありませんでしたが、
市場では 各国中央銀行による金の買い入れ継続 が再び話題になりました。
これは2024〜2025年の金価格を支えた“最重要テーマ”ですが、
11月もその流れが続いていると複数のメディアが報じています。
参考:中央銀行の金買い継続(11/18 Reuters 日本語版)
中央銀行の購入は短期の上下よりも 「下支え」 の性質が強いため、
11月のような“ニュースが少ない月”には特に影響が大きく、
・急落しない
・じわりと買われる
・高値帯を維持しやすい
という相場環境をつくりました。
11月下旬で唯一相場に明確に影響したのは 米国感謝祭(11/27) です。
米市場が休場になることで出来高が減り、金相場は一時的に小幅調整。
その直後(11/29)には米国債利回りが反発し、
海外金相場はわずかに下落しましたが、
11月全体では 高値圏をしっかり維持 しました。
10月のような
・政府閉鎖
・首脳会談
・過去最高値更新
といった相場を揺らす大きなイベントはほとんどありませんでした。
11月の特徴はむしろ次の通りです:
・利下げ観測の継続
・中央銀行の金購入という構造的な需要
・恒常的な地政学リスク
・為替(円安)による国内相場の底堅さ
これらが重なることで、
11月の金相場は“大きく動かず、高値帯を維持した静かな強さ”が際立つ月 となりました。
11月の金相場は、ニュース主導の急変ではなく、
構造的な強材料(利下げ観測・中央銀行買い・円安など)を背景に、
300〜600円規模の変動が散発的に発生した月 でした。
ここではその中でも特に大きく動いた 5日間 を、
日付の間隔も正確に踏まえて解説します。
11月1日:21,300円/g → 4日:21,708円/g(+408円/3日間)
11日→4日までの 3日間で+408円 の上昇。
11月2日に米インフレ指標(CPI)が鈍化したことが意識され、
利下げ観測が強まり、海外相場が持ち上がりました。
3連休明けで国内相場にも一気にその影響が反映され、
11月序盤の大きな上げとなりました。
11月8日:21,721円/g → 11日:22,362円/g(+641円/3日間)
8日→11日の 3日間で+641円 という11月最大の上げ幅。
8日前後の米景気指標が弱く、金利低下の思惑が急速に広がりました。
さらにドル安進行も加わり、海外相場が4,200ドル台へ。
これが週明けの国内相場に大きく反映された形です。
11月12日:22,462円/g → 13日:22,834円/g(+372円/1日)
米金利が低下し、金利負担が軽くなるとの思惑が強まったタイミングで、
海外相場が4,200ドル台前半へ上昇。
国内相場も即座に反応し、中旬の高値ゾーンを作った1日です。
11月14日:22,785円/g → 17日:22,225円/g(−560円/3日間)
14日→17日の 3日間で−560円 の大幅下落。
感謝祭前で海外市場が徐々に“ポジション整理”に入り、
米金利反発も重なってドル建て金相場が調整。
円安が継続する中でも海外の下落分を吸収しきれず、
11月最大の下落幅となりました。
11月19日:22,297円/g → 20日:22,701円/g(+404円/1日)
こちらも “1日で+404円” の大きな上昇日。
19日に米長期金利が低下し、ドル安方向へ。
海外相場は4,150〜4,200ドル付近で底堅く推移していたこともあり、
国内相場に強い追い風が吹いた1日となりました。
2025年11月の金相場は、10月のように史上最高値や過去最大級の下落といった“派手な動き”こそありませんでした。
どちらかというと、中長期の強材料に支えられた高値圏の推移が際立った月 でした。
前半は米インフレ指標の鈍化や利下げ観測の強まりが意識され、
海外相場は4,200ドル付近で底堅く推移。国内相場もそれに連動して上昇し、
11日には3日間の変動がまとめて反映される形で +641円 の大幅上昇が発生しました。
中旬にかけては金利低下の影響が続き、13日には +372円 の上昇を記録。
一方で、17日には感謝祭前の利益確定や米金利の一時反発が響き、
−560円 の下落へと転じるなど、散発的に大きな値動きが続きました。
ただし月末にかけても22,000円台後半を維持しており、
11月全体としては高値圏をしっかりとキープ。
中央銀行による金購入の継続や地政学的リスク、円安傾向といった構造的な材料が、
相場の下値をしっかり支えた形です。
10月のような「明確なニュース主導の急変」よりも、
“金を買う環境がそもそも整っている” という基礎的な強さ が前面に出た11月。
そのため、急騰と急落の両方が散発しつつも、全体の水準感は高く、
今後を占う上でも重要な月になったといえるでしょう。