2025.08.28
最近、日経新聞で「プラチナ地金の販売が半年前の7倍に増えた」というニュースが報じられました。
この話題をきっかけに「プラチナ投資って実際どうなの?」と関心を持ち始めた方も多いのではないでしょうか。
投資といえば金や株式がまず思い浮かびますが、プラチナはまだ馴染みが薄い存在かもしれません。
しかし実は、長期的な視点で見るとプラチナには独自の魅力があり、投資対象として注目される理由がいくつもあります。
このコラムでは、初心者の方にもわかりやすく、プラチナ投資の基礎とその将来性について解説していきます。
プラチナが投資対象として注目される理由は、「希少性」「実需の強さ」、そして「価格の割安感」にあります。
まず、プラチナは地球上の埋蔵量が非常に少なく、年間の産出量は金の20分の1ほどしかありません。
この希少性そのものが、大きな魅力となっています。
次に、プラチナは宝飾品としてだけでなく、自動車の排ガス浄化装置や化学触媒、医療機器など、産業分野での用途が幅広い金属です。
需要の多くが現実の経済活動に直結しているため、「実体価値に裏付けられた投資先」として安心感を持てるのも特徴です。
さらに近年注目されているのが「価格の割安感」です。
金はここ数年高値で推移しており、過去5年間で1.5倍以上に上昇しました。
一方でプラチナはほぼ横ばいで推移しており、金との価格差が広がった結果「相対的に割安」と見られるようになっています。
この割安感が、投資家の間でプラチナ需要を高める要因となっています。
投資対象としてのプラチナを理解するうえで、金との比較は欠かせません。
かつては「プラチナ=金より高い」というのが常識でした。2000年代前半までは実際にプラチナの価格が金を上回って推移していたのです。
しかし2008年のリーマンショックを境に関係は逆転し、今では金のほうが高値を維持しています。
この逆転現象そのものが「プラチナは相対的に割安」と受け止められる背景となっています。
もうひとつ大きな違いは、投資家心理における位置づけです。
金は「有事の金」と呼ばれるように、景気悪化や金融不安のときに買われる「守りの資産」。
一方でプラチナは、景気拡大や産業需要の高まりで価格が上がりやすい「攻めの資産」という性質があります。
つまり、金とプラチナは投資対象として正反対の特徴を持っており、資産を分散する上でお互いを補完し合う存在だといえるでしょう。
プラチナの価値を支えているのは、投資対象としての注目だけではありません。
長期的な視点で見れば「産業需要」と「消費需要」の両方に大きな支えがあります。
まず、産業用途です。
プラチナは自動車の排ガス浄化装置に欠かせない触媒として利用されており、世界的に環境規制が強まる中で安定した需要があります。
さらに、水素を利用した燃料電池(FCV)の電極材料としても期待されており、「脱炭素社会」におけるクリーンエネルギーの普及とともに、需要の拡大が見込まれています。
次に、消費需要の面でも注目すべき動きがあります。
2025年4月〜6月のわずか3か月間で、中国がプラチナを大量輸入し、その量は2024年の年間産出量の20%に相当しました。
背景には、金の高騰でジュエリー需要がプラチナにシフトしていることや、プラチナの割安感があることが挙げられます。
こうした消費需要の拡大も、プラチナ投資を後押しする要因のひとつです。
つまりプラチナは、環境分野での将来性と消費市場での人気上昇という二つの柱を持つ金属。
この構造的な需要が、長期的に価格を下支えする大きな要因となっています。
プラチナに投資するといっても、いくつかの方法があります。
代表的なのは「地金(インゴット)」「コイン」「ETF(上場投資信託)」の3つです。
まずは地金(インゴット)。
もっともシンプルで分かりやすい投資方法です。
実物資産として保有できる安心感がありますが、まとまった資金が必要になることや、保管の手間がある点には注意が必要です。
次にコイン。
比較的小口から購入でき、収集価値も兼ね備えているのが特徴です。
ただし、発行年やデザインによってプレミア価格が付くこともあり、投資というより「コレクション要素」が強くなる場合もあります。
最後にETF(上場投資信託)。
証券会社を通じて株のように売買できるため、もっとも手軽な方法といえます。
実物を持つ必要がなく、流動性も高いため初心者にも人気ですが、その分「手元に資産が残らない」という側面もあります。
共通して押さえておきたい注意点は、プラチナ相場の価格変動が大きいこと。
短期的に値下がりするリスクがあるため、投資額を無理のない範囲にとどめることが大切です。
また、実物を購入する場合は保管コストや売却手数料なども事前に確認しておきましょう。
ここまで、プラチナ投資の基礎と注目される理由について見てきました。
こうした特徴を踏まえると、プラチナは「守りの金」とは違い、成長や需要拡大に賭けるタイプの資産といえます。
リスク分散の観点からも、ポートフォリオの一部に取り入れる価値が十分にあるでしょう。
投資の世界では「今安いときに買っておく」ことが後々の成果につながる場合があります。
プラチナ投資もその一例として、長期的な視点でじっくり検討してみてはいかがでしょうか。