2025.07.28
真珠は、宝石の中でもとくに柔らかく繊細な素材です。
上品な光沢とやさしい風合いで多くの人を魅了しますが、美しさを長く保つためには特別なケアが必要です。
このコラムでは、真珠の性質とお手入れ・保管の基本をわかりやすくご紹介します。
真珠は貝の体内で自然に作られる「有機質の宝石」です。
表面はとても薄い真珠層(ナクレ層)と呼ばれる層でできています。キズ・摩擦・酸に弱い性質があります。
さらに、汗や皮脂、化粧品、香水の成分も影響を与えるため、放置すると光沢が失われます。
その結果、黄ばみや変色の原因になることもあります。
真珠を身に着けたあとは、毎回お手入れをしてからしまうのが基本です。
綿素材などのやわらかい布で、表面の汗や皮脂を軽く拭き取りましょう。化学繊維やざらつきのある布は避けてください。
また、汗や化粧品が多く付着している場合は、ぬるま湯で軽くすすぐのも有効です。
ただし、強くこすったり長時間水に浸すのは避けてください。
水分を軽く拭き取ったあとは、直射日光を避けましょう。
室内の風通しが良い場所で自然乾燥させてください。
真珠は乾燥にも湿気にも弱いため、保管環境にも注意が必要です。
他のジュエリーとぶつからないように、やわらかい布やポーチで個別に保管すると安心です。
一方で、密閉しすぎると湿気がこもりやすくなります。
そのため、ある程度空気が通るジュエリーボックスを使うとよいでしょう。
乾燥剤を入れる場合でも、完全密封は避けるのが理想的です。
真珠は繊細な宝石のため、日常の取り扱いにも注意が必要です。
以下のような行為は劣化や破損の原因になることがあるため、できる限り避けましょう。
アルコールや強い洗剤で拭く
→ 真珠層が溶けたり、光沢が失われる恐れがあります。
超音波洗浄機を使う
→ 強い振動で真珠表面に微細なヒビや亀裂が入る可能性があります。
香水や化粧品をつけた直後に身につける
→ 成分が真珠に付着すると、変色や劣化につながります。
他のジュエリーと一緒に袋に入れて持ち運ぶ
→ 摩擦や衝撃により、真珠が傷つくリスクがあります。
密閉容器で長期間保管する
→ 空気の循環がなくなり、湿気がこもってカビや変色の原因になります。
真珠はとても繊細な宝石ですが、正しいケアと保管をすれば美しさを長く保てます。
使ったあとは拭き取り、汚れがあれば軽くすすぐ。
そして風通しのよい場所に保管する——このシンプルな習慣だけで、真珠の寿命はぐっと伸びます。
大切な一粒を、いつまでも輝かせるために。
毎日のやさしいお手入れを心がけましょう。