2025.08.15
2025年7月のプラチナ相場は、月を通して高値圏と調整局面が交錯する展開となりました。
本コラムでは、円建て・ドル建ての価格推移や為替の動き、さらに市場を揺さぶったニュースをもとに、7月の値動きを多角的に振り返ります。
この章では、田中貴金属の税込・小売価格をもとに、2025年7月の国内プラチナ相場を振り返ります。
7月1日の国内プラチナ価格は6,812円/gでスタート。
その後、7月18日には7,597円/gまで急騰し、月間の最高値を記録しました。
前月比でも大幅な上昇幅です。
しかし、下旬には調整局面に入りました。
月末の7月31日は6,874円/gで終了。
月初から月末までの変動幅は+62円(約0.9%の上昇)です。
小幅な上昇ながら、月中の値動きは大きかったことがわかります。
次章では、この円建て価格の変動が「為替の影響」か「国際プラチナ価格の変動」かを、ドル建て価格から分析します。
この章では、2025年7月のプラチナ価格をドル建て(1ozあたり)で確認します。
あわせて為替(円/ドル)の動きも見ていきます。
7月のドル建てプラチナ価格は月初約1,339 USD/ozから始まりました。
7月18日には約1,491 USD/ozまで急騰します。
その後は下落に転じ、月末の7月31日には約1,303 USD/ozとなりました。
一方、為替は月初143.80円から円安方向へ進行。
月末には149.21円まで上昇しています。
為替は全体的に円安基調でした。
しかし、下旬にドル建て価格が下落したため、円建て価格の下げ幅は緩やかでした。
この動きから、7月中旬の円建てプラチナ価格の急騰は、国際市場でのドル建て価格の急騰と円安進行が重なった結果であることがわかります。
この章では、7月のプラチナ相場に影響した国内外のニュースを時系列で整理します。
月前半は比較的落ち着いた動きでしたが、中旬には値を押し上げる材料が相次ぎました。
その後、下旬には調整局面へ移行します。
📈 7月中旬:急騰の要因
– **トランプ前大統領の関税発言**
米国が一部輸入品への高関税を検討との発言が報じられました。
自動車産業を中心に、プラチナ需要減少や供給網混乱への懸念が広がります。
特に南アフリカからの供給遅延リスクが意識され、市場は急速にリスクプレミアムを織り込みました。
– **リースレートの急騰**
発言をきっかけに現物調達需要が強まりました。
ロンドン市場でのプラチナ・リースレートが急騰し、短期的な供給逼迫感が発生。
価格を押し上げる大きな要因となりました。
📉 7月下旬:調整局面へ
– **株式市場の上昇とリスク選好回復**
米国株をはじめとする主要市場が堅調に推移。
安全資産から株式への資金シフトが起こり、プラチナ需要は一時的に後退しました。
– **関税発言のトーンダウンと材料出尽くし感**
下旬には発言がやや軟化して報じられ、供給懸念が和らぎました。
中旬までの急騰局面で買っていた投資家による利益確定売りも加わります。
相場の上値は重くなりました。
– **リースレートの低下**
中旬に高騰していたリースレートが下落。
現物逼迫感が薄れ、価格下落に拍車をかけました。
7月のプラチナ相場は、中旬に急騰し、下旬に反落する展開でした。
月前半は為替や国際市況を背景に底堅く推移。
しかし、7月中旬にはトランプ前大統領の関税発言をきっかけにリースレートが急騰。
需給が一時的に逼迫し、円建て・ドル建てともに大きく値を伸ばしました。
下旬に入ると、米株高や利益確定売りが進行。
さらに高値更新の反動も加わり、相場は調整局面へ。
リースレート低下も市場心理の落ち着きにつながりました。
結果として、月初と月末を比較すると小幅安でした。
ただし、月中の急騰局面では投資家と実需筋の動きが交錯し、ダイナミックな相場となりました。
来月は関税政策の行方やリースレートの変化が、引き続き相場の鍵となりそうです。
BullionVault「ニュースレター(2025年7月18日)プラチナが急騰する中で、貴金属相場は全面高」
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Reuters「プラチナ下落、米政治動向を背景に調整」
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田中貴金属工業「本日の店頭小売価格」
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