

2026.01.30

皆さんは、「質屋は物を売る場所」「お金を借りる場所」という印象を持っていないでしょうか。
しかし実際には、それとは少し違った目的で利用されるケースもあります。
そのひとつが、貸金庫の代わりとしての利用です。
特に近年、当店ではポケモンカードの保管を目的としたご相談が目立つようになってきました。
背景にあるのは、カード自体の高額化だけではありません。
湿度や温度の変化による反りや劣化など、「どう保管するか」に悩む方が増えていることも大きな要因です。
本コラムでは、なぜ質屋が貸金庫代わりとして利用されているのか?
そして、なぜポケモンカードの保管先として選ばれているのか?
これらを実際の相談内容をもとにご紹介していきます。
銀行の貸金庫は、安全性が高く貴金属や貴重品を預けるのに利用されております。
しかし、「空きがない」「手続きに時間がかかる」「すぐに出し入れできない」といった声も少なくありません。
また、自宅での保管には、盗難や災害などのリスクに加え、湿度や温度管理の難しさという問題もあります。
特に高額な品物になるほど、「本当にこの保管方法で大丈夫だろうか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
その点、質屋はもともと貴金属や時計、ブランド品などの高額品を安全に保管することを前提とした業態です。
人の出入りが管理された環境で、品物を一定期間預かる仕組みが整っています。
こうした背景から、
・売るつもりはないが、一時的に安全な場所に預けたい
・必要があれば現金化もできる選択肢を残しておきたい
こういった方にとって、質屋が貸金庫に近い役割として選ばれるケースがあります。
実際に当店で、貸金庫代わりとしての利用相談が多い品目のひとつがポケモンカードです。
理由はとてもシンプルです。
ポケモンカードは紙製であるため、湿度や温度の変化に非常に敏感だからです。
わずかな湿気でも反りが出たり、長期間の保管によって紙質が劣化してしまうこともあります。
特に日本の住環境では、梅雨や夏場の湿度上昇、冬場の乾燥など、一年を通してカードに負担がかかりやすい環境にあります。
さらに、エアコンの使用による急激な温度・湿度の変化も、カードの状態に影響を与える要因です。
また、PSA鑑定済みのカードであっても、ケースに入っていれば完全に安心というわけではありません。
保管場所の環境次第では、ケース内部の湿度変化が状態に影響する可能性もあります。
「鑑定品だから大丈夫」と考えていた方が、不安を感じて相談に来られるケースも過去にありました。
近年はカードそのものの価値が非常にあがりました。
コレクションという枠を超えて資産としてポケモンカードを保有する方も増えています。
その結果、「自宅で保管し続けることへの不安」から、より安定した環境を求めて質屋を預け先の選択肢として検討されるようになってきました。
当店の蔵で温度・湿度管理を行っている理由は、ポケモンカードの保管依頼が増えたからではありません。
もともと、質屋では革製品や時計など、湿度や乾燥に敏感な品物を多く取り扱ってきました。
特に革製品は、湿度が高すぎても低すぎても劣化につながります。
そのため、保管環境には細心の注意が必要です。
また、過去には版画や絵画といった美術品も扱っておりました。
紙や顔料を使った作品は、湿度や温度の変化によって反りや変色、シミなどが生じやすいです。
そのため、長期保管を前提とした環境管理が欠かせません。
こうした背景から、当店では以前から温度・湿度を一定に保つための管理を行ってきました。
その結果として、同じく紙製で環境の影響を受けやすいポケモンカードにとっても、相性の良い保管環境となっています。
ポケモンカードのために特別な設備を用意した、というよりも、これまで培ってきた保管環境が、結果的にカード保管にも適していたというのが実情です。
質屋は、あくまで品物を担保に融資を行う仕組みです。
そのため、原則として品物を預ける際には融資が発生します。また、保管期間に応じて利息(質料)がかかります。
この点は、「お金は一切借りず、純粋に長期間保管したい」という目的の方にとっては、必ずしも最適とは言えない場合もあります。
一方で、利息はかかるものの、審査が不要で信用情報に影響が出ません。
そして必要に応じて現金化の選択肢を残せるという柔軟さは、質屋ならではの特徴と言えるでしょう。
大切なのは、ご自身の目的に合った預け先を選ぶことです。
ポケモンカードの高額化が進む中で、相場や売却価格だけでなく、「どう保管するか」が重要なテーマになってきました。
自宅保管には限界があり、銀行の貸金庫もすべての品物に向いているとは限りません。
その中で、温度・湿度管理された環境を持つ質屋が、貸金庫に近い役割として選ばれるケースがある、というのが実際の現場で感じている変化です。
質屋は、売却や投機を前提とした場所だけではありません。
大切な品物を守りながら、必要に応じて柔軟に対応できる仕組みを持っています。
もちろん、融資や利息といった前提条件はあります。
しかし、目的が合えば有効な選択肢のひとつになり得ます。
ポケモンカードを「売るか・持ち続けるか」だけでなく、「どう守るか」という視点で考える際の一例として、本コラムが参考になれば幸いです。
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